訪問看護ステーションの1人あたり売上の目安は?|計算方法・損益分岐点・収益改善のポイントを解説

コラム
  1. なぜ「1人あたり売上」が経営の重要指標なのか
    1. 訪問看護は人件費率が極めて高いビジネス
    2. 1人あたり売上を把握すれば採算ラインが見える
    3. スタッフ数と収益のバランスを管理する
  2. 訪問看護ステーションの売上の仕組み
    1. 介護保険報酬の基本構造
    2. 医療保険報酬の基本構造
    3. 加算で売上は大きく変わる
  3. 1人あたり売上の計算方法
    1. 基本の計算式
    2. 常勤換算ベースで計算する理由
    3. 職種・雇用形態別の計算の考え方
  4. 1人あたり売上の目安と業界水準
    1. 業界調査から見る平均値
    2. 規模別・地域別の傾向
    3. この数字を下回ったら危険というライン
  5. ステーション全体の月間売上と1人あたり売上の関係
    1. 月間売上の目安
    2. スタッフ数が増えると1人あたり売上はどう変わるか
    3. 小規模ステーションと大規模ステーションの違い
  6. 稼働率と1人あたり売上の深い関係
    1. 稼働率とは何か
    2. 稼働率が1人あたり売上に与える影響
    3. 目標稼働率の考え方
  7. 損益分岐点の考え方
    1. 固定費の内訳
    2. 変動費の内訳
    3. 損益分岐点の計算の考え方
    4. 開業初期に赤字が続く理由
  8. 1人あたり売上を上げるための具体的な方法
    1. 稼働率を高める
    2. 訪問件数・移動効率を改善する
    3. 加算を積極的に取得する
    4. 医療保険の高単価ケースを増やす
    5. 業務効率化で訪問可能件数を増やす
    6. 保険外・自費サービスの活用
  9. サテライト展開と1人あたり売上の変化
    1. サテライトを開設すると何が変わるか
    2. サテライト展開のメリットとリスク
  10. 採用・人員計画と売上の関係
    1. スタッフを増やすと売上はどう変わるか
    2. 非常勤を活用した柔軟な人員計画
    3. 採用コストが売上を圧迫するリスク
  11. よくある質問
    1. 1人あたり売上の目安はいくらですか?
    2. 売上が少ない原因として何が考えられますか?
    3. 加算を増やすだけで収益は改善しますか?
  12. まとめ

なぜ「1人あたり売上」が経営の重要指標なのか

訪問看護は人件費率が極めて高いビジネス

訪問看護ステーションの経営において最も大きなコストは人件費です。厚生労働省の「令和3年度介護事業経営概況調査」によると、訪問看護ステーションの人件費率の平均は73.9%にのぼります。売上の約4分の3が人件費に消えるという構造は、他の多くの業種と比べて突出して高い水準です。

この構造が意味することは、「売上を上げる=スタッフ1人あたりがどれだけの収益を生み出せるかを高める」ことが経営改善の最短ルートだということです。固定費削減や加算の見直しも重要ですが、その前提として「1人あたり売上」という指標を正確に把握していなければ、どこに問題があるかを特定することさえできません。

1人あたり売上を把握すれば採算ラインが見える

1人あたり売上を把握することで、「今のスタッフ数でステーションが黒字になるかどうか」を判断できるようになります。例えば固定費(家賃・人件費・消耗品費など)が月200万円かかるステーションで、スタッフが常勤換算3人であれば、1人あたり67万円以上の売上を生み出さなければ赤字になります。この採算ラインを把握していない状態で経営を続けることは、霧の中を走るようなものです。

1人あたり売上は「今の経営が健全かどうか」を示す健康診断の数値のようなものです。定期的にこの数値を計算・モニタリングする習慣を持つことが、経営判断の精度を大幅に高めます。

スタッフ数と収益のバランスを管理する

訪問看護ステーションの収益はスタッフが訪問した件数・時間に比例します。スタッフを増やせば訪問できる件数は増えますが、同時に人件費も増加します。1人あたり売上を指標として管理することで、「今のスタッフ数は多すぎるか・少なすぎるか」「もう1人採用したら採算は合うか」という人員計画の判断が、感覚ではなく数字に基づいて行えるようになります。

訪問看護ステーションの売上の仕組み

介護保険報酬の基本構造

訪問看護ステーションの売上の大部分は、介護保険と医療保険からの報酬で構成されています。介護保険における訪問看護の報酬は、訪問時間・提供する職種・利用者の要介護度などによって定められた単位数に、地域ごとの単価(1単位あたりの金額)を掛けて算出されます。

訪問時間による基本報酬の区分は、20分未満・30分未満・30分以上1時間未満・1時間以上1時間30分未満という4つに分かれており、訪問時間が長いほど1件あたりの報酬は高くなります。ただし、長時間の訪問は1日に対応できる件数が減るため、1件あたりの単価と1日の訪問件数のバランスを最適化することが収益最大化の鍵になります。

医療保険報酬の基本構造

医療保険における訪問看護の報酬は「訪問看護療養費」として算定されます。医療保険は介護保険と比べて1回あたりの報酬が高い傾向があり、特に特別管理加算・精神科訪問看護・難病・がん末期などの高医療ニーズの利用者に対する報酬は高い水準に設定されています。医療保険の利用者を一定割合確保することが、ステーション全体の1人あたり売上を高める上で有効な戦略の一つです。

加算で売上は大きく変わる

訪問看護の売上は基本報酬だけでなく、各種加算によって大きく変わります。緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算・24時間対応体制加算・専門管理加算・看護体制強化加算など、算定できる加算の種類と算定率は、ステーションの収益を左右する重要な要素です。同じ訪問件数でも、加算を積極的に取得しているステーションとそうでないステーションでは、売上に大きな差が生まれます。

1人あたり売上の計算方法

基本の計算式

1人あたり売上の計算式は以下の通りです。

1人あたり月間売上 = ステーション全体の月間売上 ÷ 従業者数(常勤換算)

例えば、月間売上が300万円でスタッフが常勤換算5人のステーションであれば、1人あたり売上は60万円になります。この計算を毎月行い、数値の推移を把握することが経営管理の基本です。

常勤換算ベースで計算する理由

スタッフの実際の人数ではなく「常勤換算」の数字をベースに計算する理由は、常勤・非常勤が混在するステーションの実態を正確に反映するためです。例えば常勤スタッフ2名と週20時間勤務の非常勤スタッフ2名がいる場合、実際の人数は4名ですが常勤換算では3名(常勤2+非常勤0.5×2)になります。実際の人数で割ると1人あたり売上が低く出てしまうため、常勤換算ベースで計算することが実態をより正確に把握できます。常勤換算の計算方法については「訪問看護の常勤換算とは?|計算方法・人員基準・違反した場合のリスクを徹底解説」で詳しく解説しています。

職種・雇用形態別の計算の考え方

看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、職種によって1回あたりの報酬単位数が異なります。また、常勤スタッフと非常勤スタッフでは訪問件数・稼働時間が大きく異なります。全体の1人あたり売上だけでなく、職種別・雇用形態別に分解して計算することで、どの職種・雇用形態が収益に貢献しているか・どこに改善の余地があるかをより詳しく分析できます。

1人あたり売上の目安と業界水準

業界調査から見る平均値

複数の業界調査・経営分析データを参考にすると、訪問看護ステーションの1人あたり月間売上の全国平均はおおよそ50万〜65万円程度とされています。ただし、この数字はステーションの規模・地域・提供する保険の種別・加算の取得状況によって大きく異なるため、あくまでも「参考値」として捉えることが重要です。

重要なのは、業界平均と自ステーションを比較して「自分たちの数字がどのポジションにあるか」を把握することです。平均より低い場合は改善の余地がある、平均より高い場合は現状の取り組みが効果を上げているというシグナルとして活用できます。

規模別・地域別の傾向

スタッフ数が多い大規模ステーションほど、1人あたり売上が高くなる傾向があります。これは、スタッフ数が多いほど訪問の効率化(移動ルートの最適化・バックアップ体制の充実)が図りやすく、また加算を算定するための体制も整えやすいためです。

地域別では、都市部は訪問件数を多くこなせる一方で競合も多く、地方は移動距離が長くなる分1日の訪問件数が少なくなりやすい傾向があります。自ステーションが置かれた地域特性を踏まえた上で目標値を設定することが重要です。

この数字を下回ったら危険というライン

1人あたり売上が月40万円を下回るようなら、経営上の危険信号と考えるべきです。スタッフ1人の人件費(給与・社会保険料含む)が月35万〜50万円程度かかることを考えると、1人あたり売上が40万円を割り込むと人件費すら賄えない可能性があります。この水準が続くと運転資金が急速に減少し、廃業リスクが高まります。廃業リスクの全体像については「訪問看護ステーションの廃業率は本当に高い?|100件開業して100件廃業するという噂の真相と対策」もあわせてご覧ください。

ステーション全体の月間売上と1人あたり売上の関係

月間売上の目安

ステーション全体の月間売上は、常勤換算の人数×1人あたり売上で概算できます。常勤換算3人(開業時の最低基準2.5人を少し上回る規模)のステーションで1人あたり60万円の売上であれば、月間売上は180万円程度になります。常勤換算5人になれば月間300万円、10人規模になれば月間600万円が一つの目安です。

ただしこれはあくまでも概算であり、加算の取得状況・医療保険比率・稼働率によって実際の売上は大きく変動します。特に開業直後は利用者数が少なく1人あたり売上が低い時期が続くため、この時期を乗り切るための運転資金の確保が非常に重要です。

スタッフ数が増えると1人あたり売上はどう変わるか

スタッフを増やした直後は、新スタッフの訪問件数が少ない時期が続くため、一時的に1人あたり売上が下がることがあります。しかし新スタッフの担当利用者が増えて稼働が安定してくると、1人あたり売上は元の水準に戻り、その後はスタッフ増加分の売上増加につながっていきます。採用のタイミングと利用者獲得のスピードをどう合わせるかが、スタッフ増員時の経営管理で最も重要な視点です。

小規模ステーションと大規模ステーションの違い

常勤換算3〜5人程度の小規模ステーションでは、管理者自身が訪問業務を担うことが多く、管理業務に使える時間が限られます。一方で固定費が少なく、少ない売上でも損益分岐点を超えやすいという特徴があります。常勤換算10人以上の大規模ステーションでは、専任の管理者・事務スタッフを配置できるため経営管理の精度が上がり、加算の取得漏れも防ぎやすくなります。自ステーションの規模に応じた経営管理の方法を選ぶことが重要です。

稼働率と1人あたり売上の深い関係

稼働率とは何か

訪問看護における稼働率とは、スタッフが実際に訪問に使った時間が、勤務時間全体に占める割合のことです。移動時間・記録作成時間・ミーティング時間・休憩時間などは訪問時間に含まれないため、勤務時間のすべてを訪問に充てることはできません。一般的に、訪問看護ステーションの適切な稼働率は70〜80%程度とされており、これを下回ると1人あたり売上が低下するリスクが高まります。

稼働率が1人あたり売上に与える影響

稼働率が低い原因には様々なものがあります。利用者数が少なく訪問が入っていない時間帯がある・移動時間が長く訪問件数が伸びない・記録作業に時間がかかりすぎている・スタッフが病欠・有休でシフトが埋まらないなどです。これらの原因を特定して対処することなしに、1人あたり売上を改善することはできません。稼働率の低さは「見えにくいコスト」であるため、意識的にモニタリングすることが重要です。

目標稼働率の考え方

目標とする稼働率は、ステーションの規模・地域・スタッフ構成によって異なりますが、おおよそ75%前後を一つの目安として設定しているステーションが多いです。稼働率を高めるためには、利用者数の安定確保・訪問スケジュールの最適化・移動時間の短縮・記録業務の効率化(電子カルテの活用)などが有効です。ただし稼働率を上げようとするあまり、スタッフの負担が増大してしまうと離職リスクが高まるため、バランスの取り方が重要です。

損益分岐点の考え方

固定費の内訳

訪問看護ステーションの固定費は、毎月売上の多少にかかわらず発生するコストです。主な固定費には、スタッフの基本給・役職手当などの人件費(最大の固定費)、事務所の家賃・光熱費、電子カルテ・請求ソフトの月額料金、通信費、保険料(賠償責任保険など)、車両リース代などが含まれます。これらを合計した固定費の総額が、毎月最低限稼がなければならない売上の下限を決定します。

変動費の内訳

変動費は売上・訪問件数に応じて変動するコストです。主な変動費には、訪問手当・オンコール手当などの変動給、ガソリン代・交通費、衛生消耗品費などが含まれます。変動費は訪問件数が増えるほど増加しますが、売上も同時に増加するため、固定費ほど経営を圧迫しにくい性質のコストです。

損益分岐点の計算の考え方

損益分岐点とは、売上と総コスト(固定費+変動費)がちょうど釣り合い、利益がゼロになる売上水準のことです。損益分岐点を下回る売上では赤字、上回れば黒字になります。

計算式のイメージとして、固定費が月150万円・変動費率(売上に占める変動費の割合)が10%のステーションの場合、損益分岐点は150万円÷(1−0.1)=約167万円となります。月間売上が167万円を超えれば黒字、下回れば赤字という判断ができます。自ステーションの固定費・変動費を正確に把握し、損益分岐点を算出することが経営判断の基礎になります。

開業初期に赤字が続く理由

訪問看護ステーションは開業直後、利用者が少ない時期が続くため売上が損益分岐点を下回る赤字状態がしばらく続くことが一般的です。さらに、介護報酬・診療報酬は実際にサービスを提供してから入金されるまでに約2〜3ヶ月のタイムラグがあります。スタッフへの給与支払いは毎月発生するにもかかわらず、売上の入金が遅れるため、開業初期は手元の現金が急速に減少します。この時期を乗り切るための運転資金を厚めに確保しておくことが、開業成功の絶対条件です。

1人あたり売上を上げるための具体的な方法

稼働率を高める

稼働率を高めることは、追加のスタッフを採用せずに売上を増やすための最も効率的な方法です。利用者数が少ない曜日・時間帯の空き枠にケアマネからの紹介を積極的に受け入れる・担当看護師の訪問スケジュールを見直して隙間時間を減らすなどの工夫が、稼働率の改善につながります。ケアマネとの関係構築を強化して継続的な紹介を確保することが、稼働率維持の根本的な対策です。ケアマネとの関係構築については「訪問看護ステーションがケアマネと関係構築する方法|選ばれるステーションになるための営業戦略」で詳しく解説しています。

訪問件数・移動効率を改善する

1日の訪問件数を増やすためには、移動時間の短縮が最も効果的です。同じエリア内の訪問をまとめて組み込む訪問ルートの最適化・交通渋滞を避けた時間帯の設定・移動手段の見直し(徒歩・自転車・バイク・車の使い分け)などが有効です。移動時間が30分短縮できれば、1日あたり1件追加の訪問が可能になるケースもあり、月間売上への影響は大きいものがあります。

加算を積極的に取得する

加算の取得漏れは、訪問看護ステーションで最もよく見られる収益機会の損失の一つです。算定できる要件を満たしているにもかかわらず届出を出していない・同意書の取得を忘れていたなどの理由で加算が算定できていないケースは少なくありません。現在算定している加算を一覧化し、算定できていない加算の要件を確認して体制を整えることで、追加の訪問なしに売上を増やすことができます。

医療保険の高単価ケースを増やす

介護保険と比べて医療保険は1回あたりの報酬が高いケースが多く、特に特別管理加算・精神科訪問看護・難病・がん末期などの高医療ニーズの利用者を担当することで、同じ訪問時間でも高い売上につながります。医療機関との連携を強化して高医療ニーズの利用者の紹介ルートを確保することが、医療保険比率を高める有効な方法です。

業務効率化で訪問可能件数を増やす

電子カルテを導入して訪問先でリアルタイムに記録を入力することで、帰社後の記録作業時間を大幅に削減できます。記録作業が効率化されれば、その分の時間を追加の訪問に充てることができます。また、請求業務の自動化・シフト管理のシステム化なども、間接業務にかかる時間を削減して訪問に集中できる環境づくりに貢献します。

保険外・自費サービスの活用

介護保険・医療保険の給付限度額を超えてサービスを希望する利用者に対して、自費(保険外)サービスを提供することで売上を上乗せすることができます。旅行・外出への同行・時間延長・保険適用外の内容のサービスなど、利用者・家族のニーズに応えながら収益を補完する選択肢として、保険外サービスの導入を検討する事業所が増えています。ただし、保険適用のサービスと自費サービスの区分・料金設定・説明・同意取得については、法令に沿った適切な対応が必要です。

サテライト展開と1人あたり売上の変化

サテライトを開設すると何が変わるか

訪問看護ステーションのサテライト事業所(出張所)を開設することで、本体事業所から離れたエリアへの訪問効率を高め、訪問件数・売上を増やすことができます。サテライトはその地域の訪問看護ニーズを取り込む「前線基地」として機能し、移動時間の大幅な短縮につながるため、1人あたりの訪問件数を増やす効果が期待できます。

サテライトは本体事業所と通算して人員基準(常勤換算2.5人以上)を満たすことが必要であり、サテライト単体での人員配置基準は設けられていません。ただし実際の運営上、サテライト専任のスタッフを配置することが多く、増員コストが発生します。

サテライト展開のメリットとリスク

サテライト展開のメリットは、①新たなエリアの訪問ニーズを取り込める、②移動効率が上がり1人あたり訪問件数が増える、③地域における認知度・存在感が高まるという点です。一方リスクとしては、①サテライト開設コスト(物件費・設備費)が発生する、②サテライト専任スタッフの採用が必要になる場合がある、③管理コストが増加して管理者の業務負担が増えるという点が挙げられます。サテライト展開は規模拡大の有効な手段ですが、本体事業所の経営が安定してから検討することが望ましいです。

採用・人員計画と売上の関係

スタッフを増やすと売上はどう変わるか

スタッフを1人増やすと、その分の人件費が固定費として即座に発生しますが、その人が担当する利用者が増えて売上が上がるまでには時間がかかります。採用から一人立ちまでの期間(研修・同行訪問など)が平均2〜3ヶ月程度かかることを考えると、採用後しばらくは「人件費だけが増えて売上が上がらない」という状態が続きます。採用のタイミングと利用者獲得のスピードを合わせることが、採用による収益への悪影響を最小限に抑えるためのポイントです。

非常勤を活用した柔軟な人員計画

常勤スタッフだけでなく、非常勤スタッフを組み合わせることで、需要の変動に柔軟に対応できる人員計画が実現します。利用者が少ない時期は非常勤の勤務時間を減らして人件費を抑え、利用者が増えてきたら常勤に切り替えるという段階的な体制強化が、収益を安定させながら規模を拡大するための現実的な方法です。

採用コストが売上を圧迫するリスク

人材紹介会社を通じてスタッフを採用した場合、年収の20〜35%程度の紹介手数料が発生します。採用するたびに数十万〜百万円以上のコストが発生し、これが1人あたり売上を大きく圧迫します。採用コストを抑えるためには、自社ホームページ・採用サイトからの直接応募を増やす仕組みを作ることが最も有効な長期的対策です。採用コストの削減方法については「訪問看護ステーションの採用方法を徹底比較|採用サイトが最も効果的な理由」で詳しく解説しています。

よくある質問

1人あたり売上の目安はいくらですか?

業界調査を参考にすると、全国平均はおおよそ月50万〜65万円程度とされています。ただしこの数字はステーションの規模・地域・加算取得状況によって大きく異なります。まず自ステーションの数値を計算し、改善の余地がある場合は稼働率・加算取得・訪問効率の改善から着手することをおすすめします。

売上が少ない原因として何が考えられますか?

売上が少ない原因は大きく分けて①利用者数が少ない(稼働率が低い)、②加算の取得漏れがある、③訪問件数が伸びていない(移動効率が悪い・記録に時間がかかる)、④医療保険の高単価ケースが少ない、の4つが考えられます。まずどの原因が最も大きいかを特定した上で、優先順位をつけて対策を講じることが効果的です。

加算を増やすだけで収益は改善しますか?

加算の積極取得は、追加の訪問なしに売上を増やせる有効な手段ですが、それだけで根本的な収益改善が実現するわけではありません。加算取得と並行して、稼働率の改善・利用者数の拡大・業務効率化を同時に進めることが、持続的な収益改善につながります。加算は「売上を底上げするツール」として活用しながら、根本的な稼働率・訪問件数の改善に取り組むことが重要です。

まとめ

訪問看護ステーションの経営において「1人あたり売上」は、自ステーションの収益性・採算性を把握するための最も重要な指標の一つです。月間売上を常勤換算の人数で割るというシンプルな計算で算出できますが、この数字を定期的にモニタリングしている経営者とそうでない経営者では、経営判断の精度に大きな差が生まれます。

業界平均(月50万〜65万円程度)と比較して自ステーションの数値を評価し、稼働率の改善・加算の積極取得・訪問効率の向上・採用コストの削減を組み合わせることで、1人あたり売上を着実に改善することができます。経営の健全性を数字で把握しながら、持続可能な訪問看護ステーション経営を実現していきましょう。

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