訪問看護は介護保険と医療保険どちらが使える?|適用条件・優先順位・費用の違いを徹底解説

コラム
  1. 訪問看護で使える保険は2種類ある
    1. 介護保険と医療保険の基本的な違い
    2. 訪問看護ではどちらが優先されるか
    3. 両方を同時に使うことはできるか
  2. 介護保険が適用される場合
    1. 介護保険が使える条件
    2. 介護保険で訪問看護を利用できる回数・時間
    3. 介護保険の自己負担額の目安
  3. 医療保険が適用される場合
    1. 医療保険が使える条件
    2. 厚生労働大臣が定める疾病(別表7)とは
    3. 特別訪問看護指示書とは
    4. 医療保険で訪問看護を利用できる回数・時間
    5. 医療保険の自己負担額の目安
  4. 介護保険より医療保険が優先されるケース
    1. 要介護認定を受けていても医療保険になる場合
    2. 特定疾病・難病を抱えている場合
    3. 状態が急変して特別指示書が出た場合
  5. 精神科訪問看護の保険適用について
    1. 精神科訪問看護は基本的に医療保険
    2. 精神科訪問看護指示書が必要
    3. 介護保険との関係
  6. 介護保険と医療保険の違いを比較表で整理
    1. 対象者の違い
    2. 訪問頻度・時間の違い
    3. 費用負担の違い
    4. 主治医の指示書の違い
  7. 訪問看護と訪問介護の違い
    1. 訪問看護でできること
    2. 訪問介護でできること
    3. 両方を組み合わせて使うことはできるか
  8. 民間の保険は訪問看護に使えるか
    1. 民間の医療保険・介護保険の適用について
    2. 自費での訪問看護という選択肢
  9. よくある質問
    1. 要介護認定を受けていないと訪問看護は使えませんか?
    2. 40歳未満でも訪問看護を利用できますか?
    3. 医療保険と介護保険はどちらが費用が安いですか?
    4. 保険の種類はどうやって確認すればいいですか?
  10. まとめ

訪問看護で使える保険は2種類ある

介護保険と医療保険の基本的な違い

訪問看護を利用する際に使える公的保険は、「介護保険」と「医療保険」の2種類があります。介護保険は、要介護・要支援認定を受けた方が介護サービスを利用するための保険です。40歳以上の方が加入し、保険料を納めています。医療保険は、病気・けがの治療を目的とした保険で、年齢を問わずほぼすべての方が加入しています(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度など)。

訪問看護は、この2つの保険のどちらかを使って利用するサービスです。どちらの保険が適用されるかは、利用者の年齢・要介護認定の有無・疾患の種類・状態などによって決まります。自分がどちらの保険を使うのかを正確に把握しておくことが、訪問看護を上手に活用するための第一歩です。

訪問看護ではどちらが優先されるか

訪問看護において、原則として「介護保険が優先」されます。要介護・要支援認定を受けている方は、まず介護保険の訪問看護を利用することが基本です。ただしこの原則には例外があり、特定の疾病・状態にある方は要介護認定を受けていても医療保険が優先されます。この例外については後のセクションで詳しく説明します。

両方を同時に使うことはできるか

同一期間に介護保険と医療保険の両方を使って訪問看護を受けることは、原則としてできません。どちらか一方の保険で訪問看護を受けることになります。ただし、医療保険の訪問看護と介護保険の訪問リハビリテーションを組み合わせるなど、異なるサービスを組み合わせることは一定の条件のもとで可能です。具体的な組み合わせについては担当のケアマネージャーや訪問看護ステーションに相談することをおすすめします。

介護保険が適用される場合

介護保険が使える条件

訪問看護に介護保険が適用されるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

① 65歳以上で要介護・要支援認定を受けていること
② または40歳以上65歳未満で、16種類の特定疾病(がん末期・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症など)が原因で要介護・要支援認定を受けていること
③ 主治医から「訪問看護指示書」が発行されていること
④ 医療保険が優先される状態(後述)に該当しないこと

介護保険で訪問看護を利用できる回数・時間

介護保険の訪問看護は、要介護度ごとに定められた支給限度額の範囲内で利用することができます。1回あたりの訪問時間は「20分未満」「30分未満」「30分以上1時間未満」「1時間以上1時間30分未満」の4区分が設定されており、利用者の状態・ニーズに応じて組み合わせて使います。支給限度額の範囲内であれば、週に何回でも訪問を受けることができますが、他の介護保険サービス(訪問介護・通所介護など)との合計が限度額を超えないよう、ケアマネージャーと調整する必要があります。

介護保険の自己負担額の目安

介護保険の自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかになります。例えば30分以上1時間未満の訪問看護(介護保険)の基本報酬は約470単位(1単位=約10〜11.4円、地域によって異なる)で、1割負担の場合は1回あたり470〜535円程度の自己負担になります。加算の有無・地域の単価によって実際の金額は変わります。

医療保険が適用される場合

医療保険が使える条件

訪問看護に医療保険が適用される主なケースは以下の通りです。

① 要介護・要支援認定を受けていない方(年齢を問わず)
② 40歳未満の方
③ 要介護認定を受けていても、厚生労働大臣が定める疾病(別表7)に該当する方
④ 要介護認定を受けていても、主治医から「特別訪問看護指示書」が発行された方
⑤ 精神科訪問看護の対象となる方

厚生労働大臣が定める疾病(別表7)とは

要介護認定を受けていても医療保険が優先される「厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)」には以下のような疾病が含まれています。

① 末期の悪性腫瘍(がん末期)
② 多発性硬化症
③ 重症筋無力症
④ スモン
⑤ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
⑥ 脊髄小脳変性症
⑦ ハンチントン病
⑧ 進行性筋ジストロフィー症
⑨ パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上かつ生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る))
⑩ 多系統萎縮症
⑪ プリオン病
⑫ 亜急性硬化性全脳炎
⑬ ライソゾーム病
⑭ 副腎白質ジストロフィー
⑮ 脊髄性筋萎縮症
⑯ 球脊髄性筋萎縮症
⑰ 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
⑱ 後天性免疫不全症候群
⑲ 頸髄損傷
⑳ 人工呼吸器を使用している状態

これらの疾病に該当する方は、要介護認定を受けていても医療保険の訪問看護が適用されます。自分が該当するかどうかは主治医・訪問看護ステーションに確認することをおすすめします。

特別訪問看護指示書とは

通常は介護保険で訪問看護を利用している方でも、病状が急激に悪化した場合などに主治医が「特別訪問看護指示書」を発行することで、一時的に医療保険による頻回な訪問看護が可能になります。特別訪問看護指示書の有効期間は14日間で、この期間中は毎日訪問することも可能です。特別訪問看護指示書は月に1回発行されることが原則ですが、気管カニューレを使用している場合・真皮を超える褥瘡の状態にある場合は月2回まで発行できます。

医療保険で訪問看護を利用できる回数・時間

医療保険の訪問看護は、原則として週3回まで・1回あたり30〜90分程度の利用が基本です。ただし別表7の疾病に該当する方・特別訪問看護指示書が発行された方・精神科訪問看護の対象者などは、週3回を超える訪問が認められる場合があります。また1日に複数回の訪問が必要な場合も、一定の条件を満たすことで算定できます。

医療保険の自己負担額の目安

医療保険の自己負担割合は、年齢・所得に応じて1割・2割・3割のいずれかになります。訪問看護基本療養費(医療保険)は、週3日目までが1回あたり5,550円・週4日目以降が6,550円(2024年度時点、准看護師が行う場合は異なる)が基本となっており、自己負担は1割の場合555円〜、3割の場合1,665円〜程度が目安になります。加算の有無・地域・保険の種類によって異なるため、正確な金額は訪問看護ステーションに確認してください。

介護保険より医療保険が優先されるケース

要介護認定を受けていても医療保険になる場合

介護保険が原則優先されますが、以下のいずれかに該当する場合は要介護認定を受けていても医療保険の訪問看護が適用されます。①別表7の疾病に該当する場合、②主治医から特別訪問看護指示書が発行された場合、③精神科訪問看護の対象となる場合です。これらに該当するかどうかは、主治医・担当ケアマネージャー・訪問看護ステーションに確認することをおすすめします。

特定疾病・難病を抱えている場合

ALS・パーキンソン病・多発性硬化症などの神経難病・がん末期など、別表7に該当する疾病を抱えている方は、要介護認定を受けていても医療保険が優先されます。これらの疾病は医療依存度が高く、頻回な訪問が必要なケースが多いため、週3回を超える訪問が認められています。訪問看護でできることの詳細については「訪問看護でできることは?|サービス内容・できないこと・利用条件を徹底解説」もあわせてご覧ください。

状態が急変して特別指示書が出た場合

普段は介護保険で訪問看護を利用している方でも、肺炎・骨折・心不全の悪化など病状が急激に変化した場合に、主治医が「特別訪問看護指示書」を発行することで、14日間は医療保険による毎日訪問が可能になります。この制度を活用することで、状態が不安定な時期に集中して手厚い訪問看護を受けることができます。

精神科訪問看護の保険適用について

精神科訪問看護は基本的に医療保険

精神疾患(統合失調症・うつ病・双極性障害・不安障害など)を主な対象とする精神科訪問看護は、基本的に医療保険が適用されます。要介護認定を受けている方でも、精神科訪問看護については医療保険が優先されるため、「介護保険を使っているから医療保険の精神科訪問看護は使えない」ということにはなりません。精神疾患のある方が訪問看護を利用したいと思ったとき、「自分は介護保険だから使えないのでは」と諦めてしまうケースがありますが、精神科訪問看護は医療保険で利用できる場合が多いため、まず主治医や訪問看護ステーションに相談することをおすすめします。

精神科訪問看護指示書が必要

精神科訪問看護を医療保険で利用するためには、主治医(精神科医または神経科医)から「精神科訪問看護指示書」が発行される必要があります。通常の訪問看護指示書とは別の書式であり、精神科の主治医が発行します。精神科訪問看護を希望する場合は、まず精神科・心療内科のかかりつけ医に相談してください。精神科訪問看護の内容・特徴については「精神科訪問看護とは?|一般の訪問看護との違い・対象者・サービス内容を徹底解説」で詳しく解説しています。

介護保険との関係

精神疾患を抱えながら要介護認定も受けているという方は珍しくありません。このような場合、精神科訪問看護は医療保険・その他の身体的なケアは介護保険の訪問看護という使い分けが行われることがあります。ただし同一日に医療保険の精神科訪問看護と介護保険の訪問看護を受けることには制限があるため、具体的な利用方法については主治医・ケアマネージャー・訪問看護ステーションと相談しながら決めることが重要です。

介護保険と医療保険の違いを比較表で整理

対象者の違い

介護保険の訪問看護の対象は、65歳以上で要介護・要支援認定を受けた方、または40〜64歳で特定疾病が原因で要介護・要支援認定を受けた方です。医療保険の訪問看護の対象は、要介護認定を受けていない方・40歳未満の方・別表7の疾病に該当する方・特別訪問看護指示書が発行された方・精神科訪問看護の対象者などです。

訪問頻度・時間の違い

介護保険は支給限度額の範囲内であれば訪問回数に明確な上限はありませんが、医療保険は原則として週3回までという制限があります(例外あり)。1回あたりの訪問時間は介護保険・医療保険ともに概ね30〜90分程度が標準です。

費用負担の違い

介護保険の自己負担割合は1〜3割で、要介護度による支給限度額の範囲内での利用が基本です。医療保険の自己負担割合も1〜3割ですが、年齢・所得によって異なります。どちらが費用的に有利かは個人の状況によって異なるため、一概には言えません。

主治医の指示書の違い

介護保険の訪問看護には「訪問看護指示書」、医療保険の訪問看護には「訪問看護指示書」または「精神科訪問看護指示書」が必要です。特別訪問看護指示書は医療保険での頻回訪問が必要な際に発行されます。いずれの場合も主治医からの指示書なしには訪問看護を開始・継続することはできません。

訪問看護と訪問介護の違い

訪問看護でできること

訪問看護は、看護師・保健師・理学療法士などの医療専門職が訪問して行うサービスです。バイタル測定・健康状態の観察・医療処置(点滴・カテーテル管理・褥瘡処置など)・服薬管理・リハビリ・ターミナルケアなど、医療的なケアを提供します。訪問看護でできることの詳細については「訪問看護でできることは?|サービス内容・できないこと・利用条件を徹底解説」で詳しく解説しています。

訪問介護でできること

訪問介護は、介護福祉士・ホームヘルパーが訪問して行うサービスです。食事・入浴・排泄などの身体介護・掃除・洗濯・調理・買い物などの生活援助を提供します。医療行為は行えませんが、日常生活の支援という観点では訪問介護が担う役割は非常に大きいです。

両方を組み合わせて使うことはできるか

訪問看護と訪問介護は、同じ方が同時に利用することができます。医療的なケアは訪問看護師が、日常生活の支援はホームヘルパーが担うという役割分担で、在宅生活を包括的に支えることができます。ケアマネージャーがケアプランの中でこれらのサービスを適切に組み合わせてくれます。

民間の保険は訪問看護に使えるか

民間の医療保険・介護保険の適用について

民間の医療保険・介護保険(生命保険会社などが販売している保険)が訪問看護の費用に使えるかどうかは、加入している保険の契約内容によって異なります。入院給付金・手術給付金・介護給付金の支払い対象に訪問看護が含まれているかどうかを、保険証券・約款・保険会社のカスタマーサポートで確認することをおすすめします。近年は「在宅介護に対応した特約」を持つ保険商品も増えており、訪問看護の費用に充てられるケースもあります。

自費での訪問看護という選択肢

公的保険(介護保険・医療保険)の給付限度・回数制限を超えてより多くの訪問看護を受けたい場合、自費(保険外)での訪問看護サービスを提供しているステーションもあります。時間・回数・サービス内容の柔軟性が高い反面、費用は全額自己負担になります。民間の医療保険・介護保険の給付金を自費訪問看護の費用に充てることができる場合もあります。

よくある質問

要介護認定を受けていないと訪問看護は使えませんか?

使えます。要介護認定を受けていない方は医療保険の訪問看護を利用できます。主治医から訪問看護指示書を発行してもらうことが必要ですが、要介護認定は必要ありません。また40歳未満の方も医療保険で訪問看護を利用できます。

40歳未満でも訪問看護を利用できますか?

できます。40歳未満の方は介護保険に加入していないため、医療保険で訪問看護を利用することになります。主治医から訪問看護指示書を発行してもらい、訪問看護ステーションと契約することで利用できます。小児・若年成人の方も訪問看護を利用できることを知っておくことが重要です。

医療保険と介護保険はどちらが費用が安いですか?

一概にどちらが安いとは言えません。自己負担割合・加算の有無・利用する時間・地域の単価などによって実際の費用は変わります。介護保険は支給限度額の範囲内での利用が基本であるため、他のサービスとの組み合わせによって訪問看護に使える枠が変わります。正確な費用見込みは、担当のケアマネージャーや訪問看護ステーションに相談することをおすすめします。

保険の種類はどうやって確認すればいいですか?

自分が介護保険・医療保険のどちらで訪問看護を利用するかは、主治医・担当ケアマネージャー・訪問看護ステーションが確認・判断してくれます。「自分はどちらになりますか?」と率直に聞いてみることが最も確実な方法です。また訪問看護ステーションのホームページに保険に関する説明が掲載されている場合もあります。ステーションの選び方については「訪問看護ステーションの選び方【利用者・家族向け】|後悔しないための7つのチェックポイント」もあわせてご覧ください。

まとめ

訪問看護で使える保険は介護保険と医療保険の2種類があり、原則として「介護保険が優先」されますが、別表7の疾病に該当する場合・特別訪問看護指示書が発行された場合・精神科訪問看護の対象者の場合は、要介護認定を受けていても医療保険が適用されます。

特に「精神科訪問看護は医療保険」という点は見落とされがちです。精神疾患のある方が「介護保険しか使えないから訪問看護は使えない」と諦めてしまうケースがありますが、精神科訪問看護は医療保険で利用できます。まず主治医や訪問看護ステーションに相談することをおすすめします。

どちらの保険が適用されるかわからない場合は、担当のケアマネージャー・主治医・訪問看護ステーションに確認することが最も確実です。平安ラボでは、訪問看護ステーション向けのホームページ・採用サイト制作を月額9,800円〜・初期費用0円でご提供しています。お気軽にご相談ください。
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