北海道の訪問看護ステーション数の現状
北海道は全国7位の事業所数
一般社団法人全国訪問看護事業協会が発表した「令和7年度訪問看護ステーション数調査結果」(令和7年4月1日現在)によると、北海道の訪問看護ステーション稼働数は711件です。全国合計18,754件のうち、大阪府(2,222件)・東京都(1,768件)・愛知県(1,262件)・神奈川県(1,161件)・福岡県(1,051件)・埼玉県(879件)に次ぐ全国7位の規模となっています。
北海道の人口は約520万人(2025年時点)と全国8位ですが、面積は全国の約22%を占める日本最大の都道府県です。札幌市に人口が集中する一方、道内各地に広大な過疎地域が広がるという構造が、訪問看護ステーションの分布にも大きく影響しています。
全国の事業所数の推移と成長率
全国訪問看護事業協会の調査では、全国の訪問看護ステーション稼働数は15年連続で増加しており、2025年4月時点で18,754件に達しています。2012年以降の年平均成長率は8.8%にのぼります。北海道においても事業所数は増加傾向にありますが、人口減少・過疎化が進む道内各地では、全国平均と同様の成長率を維持することが難しいエリアも存在します。
開設ラッシュと廃業増加の二極化
全国では2024年度中に新規開設されたステーションが過去最高の2,487件を記録した一方、廃止が886件・休止が355件といずれも過去最多となりました。北海道でも開設と廃業の二極化が進んでいますが、その構造は他の都市部と異なります。札幌市周辺では競争激化による廃業リスクがある一方、道内過疎地域では人材不足・採算の難しさによる廃業リスクがあり、同じ「廃業」でも原因が地域によって大きく異なります。廃業リスクについて詳しくは「訪問看護ステーションの廃業率は本当に高い?|100件開業して100件廃業するという噂の真相と対策」もあわせてご覧ください。
札幌市・北海道で開業するメリット
北海道最大の人口集積地・札幌市
札幌市の人口は約195万人(2025年時点)と、北海道全体の約38%が集中する道内最大の都市です。政令指定都市として医療・介護インフラが整備されており、訪問看護の需要も北海道内では最も大きいエリアです。高齢化率も着実に上昇しており、今後も訪問看護の需要は拡大することが見込まれます。
他の大都市圏より競争が穏やか
北海道全体の711件という事業所数を人口(約520万人)で割ると、大阪府・福岡県などと比べて人口あたりの事業所密度は低い水準にあります。特に札幌市を除く道内各地では、競合が少ないエリアが多く残っており、新規参入した事業所がケアマネージャーに認知されるまでの時間が都市部より短くなりやすい傾向があります。
医療機関との連携先が充実している
札幌市内には北海道大学病院・札幌医科大学附属病院・手稲渓仁会病院・北海道がんセンターなど、北海道を代表する大規模医療機関が集積しています。退院後の在宅移行に関わる連携先が充実していることは、新規利用者獲得の追い風になります。採用活動の効果的な方法については「訪問看護ステーションの採用方法を徹底比較|採用サイトが最も効果的な理由」もあわせてご覧ください。
道内各地に訪問看護の空白地帯が残っている
北海道の広大な面積の中には、訪問看護ステーションがほとんどない・または全くないエリアが今も存在します。これらの地域での開業は、競合がいない分、地域唯一の訪問看護ステーションとして地域に欠かせない存在になれる可能性があります。地域医療への貢献という観点からも、道内の空白地帯での開業には大きな意義があります。
札幌市・北海道の競合状況の実態
札幌市内の区ごとの偏在
北海道内の訪問看護ステーションは札幌市に集中しており、特に中央区・北区・東区・白石区・豊平区などの人口が多いエリアでは事業所が集中しています。一方、西区・手稲区・清田区・南区などの郊外エリアや、道内の旭川市・函館市・帯広市・釧路市などの地方都市では、競合が少ないエリアも存在します。
道内の地方都市・農村部の状況
北海道は面積が広大であるため、札幌市から離れた地方都市・農村部では訪問看護ステーションの絶対数が少ない地域が多くあります。旭川市・函館市・帯広市・釧路市・北見市などの道内第2・第3の都市圏では、人口規模に対して事業所数が少なく、競合が少ない環境で開業できる可能性があります。ただし、移動距離の長さ・冬期間の積雪による移動困難・看護師確保の難しさという独自の課題も伴います。
冬の移動環境という北海道固有の課題
北海道の訪問看護において他都道府県にはない大きな課題が、冬期間の積雪・路面凍結による移動の困難さです。11月〜3月の冬期間は、訪問先までの移動に通常の2〜3倍の時間がかかることもあり、1日の訪問件数が減少するリスクがあります。事業計画を立てる際は、冬期間の稼働率低下を織り込んだ資金計画が不可欠です。
北海道で訪問看護ステーションを開業する際の手続き
北海道の指定申請窓口
札幌市・旭川市・函館市(中核市)以外のエリアに事業所を設置する場合、指定申請の窓口は北海道庁(保健福祉部)となります。北海道は広大であるため、地域ごとに振興局(総合振興局・振興局)の窓口が分かれていることがあります。開業予定地の管轄振興局に事前確認することをおすすめします。北海道のホームページでは指定申請に関する手引きと様式が公開されています。
札幌市の場合の手続きの違い
札幌市は政令指定都市であるため、札幌市内に事業所を設置する場合の指定申請窓口は北海道庁ではなく札幌市(保健福祉局)となります。札幌市独自の様式・手引きが用意されているため、札幌市のホームページから最新情報を確認してください。旭川市・函館市は中核市のため、それぞれの市が指定権者となります。指定申請に必要な書類の詳細については「訪問看護ステーションの指定申請に必要な書類一覧|提出先・準備のポイントを徹底解説」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
北海道の指定前研修について
北海道および各市においても、指定申請前に指定前研修の受講が求められる場合があります。北海道は広大なため、研修が開催される場所まで遠距離移動が必要になるケースもあります。オンラインでの受講が可能かどうかも含め、早めに担当窓口に確認することをおすすめします。
過疎地域・離島での開業における特例
北海道の離島(利尻島・礼文島・奥尻島など)や過疎地域では、訪問看護ステーションの人員基準(常勤換算2.5人以上)の緩和が認められる場合があります。常勤換算の基準について詳しくは「訪問看護の常勤換算とは?|計算方法・人員基準・違反した場合のリスクを徹底解説」もあわせてご確認ください。過疎地域での開業を検討している場合は、管轄の振興局に特例措置の適用可能性を事前に相談することをおすすめします。
札幌市・北海道で開業を成功させるためのポイント
エリア選定で差をつける
北海道での開業において最も重要な判断の一つがエリア選定です。競合が少ない地方都市・農村部での開業は、地域唯一のステーションとして安定した利用者確保が見込める反面、看護師採用・移動コスト・冬期間の稼働率低下という課題が大きくなります。札幌市内での開業は競合が多い反面、採用・移動・稼働率の面で安定性が高いです。自分の強み・ネットワーク・リスク許容度に合わせてエリアを慎重に選定することが重要です。
専門性・強みを明確にする
北海道でも差別化するためには「どんな利用者に強いか」という専門性の明確化が重要です。ターミナルケア・精神科訪問看護・小児在宅医療・神経難病対応などの専門領域に加えて、北海道固有のニーズとして「冬期間も安定して訪問できる体制」「農村部・離農後の高齢者への対応」「過疎地域での24時間対応」なども、地域に根ざした強みになります。
ケアマネとの関係構築を最優先にする
北海道内で安定した利用者数を確保するためには、地域のケアマネージャーとの信頼関係構築が最も重要な営業活動です。特に地方都市・農村部では訪問看護ステーションの数が少なく、新規開業のステーションがケアマネから注目されやすい環境があります。開業前から近隣の居宅介護支援事業所・地域包括支援センターへの挨拶まわりを行い、「この地域に来てくれた新しいステーション」として好印象を持ってもらうことが、早期の利用者獲得につながります。
冬期間を織り込んだ事業計画を立てる
北海道での訪問看護において、冬期間の運営を事業計画に正確に織り込むことは他の都道府県にはない重要な視点です。積雪・路面凍結による移動時間の増加・訪問件数の減少・スタッフの体力的負担増加を見込んだ上で、年間を通じた収支計画を立てることが経営の安定につながります。スタッフの冬用装備・車両の冬タイヤ・ロードサービス契約なども開業前から準備しておきましょう。
採用活動をエリアに合わせて設計する
札幌市では看護師の供給数がある程度確保されていますが、道内の地方都市・農村部では看護師の採用が全国でも特に難しいエリアの一つです。看護師が少ない地域での開業を検討している場合は、札幌市内での採用・通勤または移住支援の制度整備・道外からの看護師のUターン・Iターン採用なども視野に入れた採用戦略が必要です。
ホームページで地域名を打ち出す
「訪問看護ステーション 札幌市」「訪問看護 旭川市」「訪問看護 帯広市」など市区名・地域名を含むキーワードで検索した利用者・家族・ケアマネージャーに見つけてもらうためには、ホームページに対応エリアを具体的に記載し、地域に根ざした情報を継続的に発信することが重要です。道内の地方都市では競合が少ない分、ホームページを整備するだけで地域での認知を得やすい環境があります。
北海道・札幌市で開業する際の注意点
冬期間の移動コスト・体力的負担
北海道の冬期間(11月〜3月)は積雪・路面凍結により、訪問先までの移動時間が大幅に増加します。1日の訪問件数が減少することは収益の低下に直結するため、冬期間の稼働率低下を見込んだ運転資金を厚めに確保しておくことが重要です。スタッフの安全確保のため、冬用タイヤの装着・車両の暖機・緊急時のロードサービス契約などは開業前から必ず準備してください。
地方都市・農村部での看護師確保の難しさ
北海道の地方都市・農村部での看護師採用は、全国でも特に難しい課題の一つです。生活環境・給与・通勤距離・冬の生活への不安など、看護師が地方での就職を敬遠する要因が複数存在します。移住支援・住居支援・給与水準の引き上げなど、都市部より手厚い条件設定が必要になることを開業前から見込んでおく必要があります。
人口減少エリアでの長期的な需要見通し
北海道の多くの地方都市・農村部は人口減少が続いており、長期的な訪問看護の需要見通しを慎重に立てる必要があります。現時点では高齢者人口が多くても、10〜20年後には人口が大幅に減少して需要が急減するリスクがある地域もあります。開業前に人口動態の長期推計データを確認し、持続可能なビジネスモデルを設計することが重要です。
報酬改定・廃業リスクへの備え
訪問看護の介護報酬・診療報酬は定期的に改定されます。特定の加算収入に過度に依存した経営モデルはリスクが高く、常に複数の収益源を持ち改定への適応力を高めておくことが、長期的な安定経営の条件になります。開業準備全体については「訪問看護ステーション開業に必要なもの完全ガイド|法人設立から初日訪問までの全ステップ」もあわせてご覧ください。
よくある質問
北海道の指定申請はどこに提出しますか?
札幌市(政令指定都市)・旭川市・函館市(中核市)以外のエリアへの開業は北海道庁(保健福祉部)または各振興局が申請窓口となります。北海道は広大なため、開業予定地の管轄振興局に事前確認することを強くおすすめします。申請様式は北海道のホームページからダウンロードできます。
札幌市内と地方都市ではどちらが開業しやすいですか?
採用・移動・稼働率の安定性という観点では札幌市内の方が開業しやすい傾向があります。一方、競合の少なさという観点では地方都市の方が開業しやすいエリアが多くあります。どちらが適しているかは、自分の強み・人脈・リスク許容度によって異なるため、事前のエリア調査と現地訪問を十分に行った上で判断することをおすすめします。
冬期間も訪問できる体制は作れますか?
作れます。北海道内で長年運営している訪問看護ステーションの多くは、冬期間の移動体制・スタッフの安全管理・緊急時の対応マニュアルを整備した上で、年間を通じて訪問看護を提供しています。冬期間に対応できる体制を持つステーションは、利用者・家族から「安心して頼める存在」として評価されやすく、競合との差別化にもなります。
まとめ
北海道の訪問看護ステーション稼働数は令和7年4月時点で711件(全国訪問看護事業協会調査)と、全国7位の規模です。札幌市に人口・事業所が集中する一方、道内各地には競合が少ない地域が多く残っており、エリアによっては他の大都市圏より開業しやすい環境があります。
一方で、北海道固有の課題として冬期間の移動困難・地方での看護師採用の難しさ・人口減少による長期的な需要見通しへの注意が必要です。これらを正確に見込んだ事業計画の上で、エリア選定・専門性の明確化・ケアマネとの関係構築・採用活動・ホームページによる地域への情報発信を戦略的に組み合わせることが、北海道での開業成功の鍵です。
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