東京都の訪問看護ステーション数の現状
東京都は全国2位の事業所数
一般社団法人全国訪問看護事業協会が発表した「令和7年度訪問看護ステーション数調査結果」(令和7年4月1日現在)によると、東京都の訪問看護ステーション稼働数は1,768件です。全国合計18,754件のうち、大阪府(2,222件)に次ぐ全国2位の規模となっています。
東京都の人口は約1,400万人(2025年時点)と全国1位であり、人口あたりの事業所密度では大阪府に及ばないものの、絶対数として非常に多くの訪問看護ステーションが集積しています。訪問看護の需要・供給ともに全国最大規模の市場が東京都です。
全国の事業所数の推移と成長率
全国訪問看護事業協会の調査では、全国の訪問看護ステーション稼働数は15年連続で増加しており、2025年4月時点で18,754件に達しています。2012年以降の年平均成長率は8.8%にのぼり、訪問看護市場が急速に拡大してきたことがわかります。東京都においても、この全国的な増加傾向と同様に、事業所数は継続的に増えてきました。2025年を迎え団塊の世代が後期高齢者となったことで、在宅医療の需要はさらに高まっています。
開設ラッシュと廃業増加の二極化
全国では2024年度中に新規開設されたステーションが過去最高の2,487件を記録した一方、廃止が886件・休止が355件といずれも過去最多となりました。東京都も例外ではなく、開設ラッシュと廃業増加の二極化が顕著に進んでいます。「人口が多いから参入すれば成功する」という見通しは危険であり、開業後の経営戦略こそが生き残りを決める時代になっています。廃業リスクについて詳しくは「訪問看護ステーションの廃業率は本当に高い?|100件開業して100件廃業するという噂の真相と対策」もあわせてご覧ください。
東京都・23区で開業するメリット
人口規模と高齢者数の大きさ
東京都の総人口は約1,400万人(2025年時点)と全国1位です。高齢化率は全国平均よりやや低い水準ですが、絶対数としての高齢者人口は全国最大であり、訪問看護の需要総量は全国でも群を抜いています。特に23区内では高齢者が密集して居住するエリアが多く、1つの事業所あたりの訪問先が近距離に集中しやすいという、移動効率の高さも東京ならではのメリットです。
医療機関・ケアマネとの連携先が豊富
東京都内には東京大学医学部附属病院・慶應義塾大学病院・順天堂大学医学部附属病院・東京医科歯科大学附属病院など、日本を代表する大規模医療機関が集積しています。退院後の在宅移行に関わる連携先が全国最多水準で存在しており、医療機関からの訪問看護への橋渡しが非常に活発なエリアです。居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)の数も全国最多水準であり、連携先の選択肢が豊富です。
看護師の供給数が全国最多
東京都は医療機関の集積に伴い、看護師の絶対数が全国で最も多い地域です。看護師が集まりやすい環境は、採用において有利な面があります。ただし、同様に訪問看護ステーションの数も多く、採用競争は全国でも屈指の激しさです。採用活動の効果的な方法については「訪問看護ステーションの採用方法を徹底比較|採用サイトが最も効果的な理由」もあわせてご覧ください。
サテライト設置の柔軟性
東京都は他の都道府県に比べてサテライト事業所の設置が柔軟に認められているケースが多く、本体事業所を設置した後に近隣エリアへサテライトを展開することで、効率的に訪問エリアを拡大できる環境があります。規模を拡大したい事業者にとって、この柔軟性は大きなメリットです。
東京都・23区の競合状況の実態
全国2位の事業所数が意味すること
東京都に1,768件の訪問看護ステーションが稼働しているという数字は、全国2位の競争環境であることを意味します。特に23区内では事業所が密集しており、同じ区内に数十件の競合が存在することも珍しくありません。新規参入した事業所がケアマネージャーに認知されるまでには時間と労力が必要です。
23区と多摩地域の違い
東京都内でも、23区と多摩地域では競合状況が大きく異なります。23区内、特に世田谷区・練馬区・大田区・足立区など人口が多い区では事業所が密集しています。一方、多摩地域(八王子市・町田市・府中市・調布市など)や島しょ部では、23区と比べて競合が少ないエリアも存在します。人口密度・高齢化率・既存事業所の分布を区市町村単位で調査することが、エリア選定の精度を高めます。
競合が少ないエリアを狙う考え方
23区内にこだわらず、多摩地域の中核都市(八王子市・町田市・府中市・調布市・立川市・西東京市など)での開業を検討することも有効です。これらの都市は人口規模が大きい一方、23区中心部と比べると競合が少なく、地域のケアマネージャーとの関係を構築しやすい環境があります。また、23区内でも精神科訪問看護・小児在宅医療・難病対応など特定の専門領域に絞ることで、一般的な競合と直接ぶつからないポジショニングも可能です。
東京都で訪問看護ステーションを開業する際の手続き
東京都の指定申請窓口
東京都内(特別区・市部・町村部)への開業は、原則として東京都(福祉局)が指定申請の窓口となります。ただし、東京都の場合は区市町村ごとに窓口が分かれているケースもあるため、開業予定地の管轄窓口を事前に確認することが重要です。東京都のホームページでは指定申請に関する手引きと様式が公開されています。
23区内で開業する場合の注意点
東京23区内に事業所を設置する場合、指定申請は東京都(福祉局)が窓口となりますが、事業所が所在する区の福祉部門との連携が必要になる場合もあります。23区は人口が密集しているため、事務所の物件探し・賃料の高さという現実的な課題も生じます。都心部の事務所賃料は地方の数倍になることもあるため、固定費として収益計画に正確に織り込んでおく必要があります。指定申請に必要な書類の詳細については「訪問看護ステーションの指定申請に必要な書類一覧|提出先・準備のポイントを徹底解説」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
東京都の指定前研修について
東京都においても、指定申請前に指定前研修の受講が求められる場合があります。研修のスケジュールによっては受講から申請まで数ヶ月かかることもあるため、開業希望日から余裕を持って担当窓口に確認することが重要です。東京都は申請件数が多い分、窓口対応に時間がかかることもあるため、早めの行動が重要です。
東京都・23区で開業を成功させるためのポイント
エリア選定で差をつける
全国2位の競争環境である東京都では、「どのエリアで開業するか」という選択がその後の経営を大きく左右します。人口が多くても競合も多い23区都心部よりも、競合が少なく需要が充足されていないエリアを狙う戦略が、開業初期の稼働率を高めやすいケースがあります。区市町村単位での人口動態・高齢化率・既存事業所の数を事前に徹底的に調査した上でエリアを選定しましょう。
専門性・強みを明確にする
全国2位の競争環境の東京都では、「どんな利用者に強いか」という専門性の明確化が特に重要です。ターミナルケア・精神科訪問看護・小児在宅医療・神経難病対応・重症心身障害など、特定の領域に強みを持つことで、その専門ニーズを持つ利用者やケアマネージャーから選ばれるポジションを確立できます。東京都には特定疾患・難病を抱える方が多く居住しており、専門特化型の事業所への需要は高い傾向があります。
ケアマネとの関係構築を最優先にする
東京都内で安定した利用者数を確保するためには、地域のケアマネージャーとの信頼関係構築が最も重要な営業活動です。開業前から近隣の居宅介護支援事業所・地域包括支援センターへの挨拶まわりを行い、自社の強み・対応エリア・24時間対応の有無を具体的に伝えましょう。東京都内では多くのステーションが同じケアマネに営業しているため、継続的な関係維持の姿勢が差別化になります。
採用活動をエリアに合わせて設計する
東京都は看護師の供給数が全国最多ですが、訪問看護ステーションの数も全国2位のため、採用競争は全国でも屈指の激しさです。給与・待遇だけでの差別化には限界があるため、「このステーションで働きたい」と思ってもらえる職場の理念・働き方・雰囲気をホームページや採用サイトで丁寧に発信することが、採用成功の鍵になります。
ホームページで地域名を打ち出す
「訪問看護ステーション 世田谷区」「訪問看護 練馬区」など区名・地域名を含むキーワードで検索した利用者・家族・ケアマネージャーに見つけてもらうためには、ホームページに対応エリアの区市町村を具体的に記載し、地域に根ざした情報を継続的に発信することが重要です。競合が多い東京都だからこそ、地域名での検索からの流入を確実に取り込む設計が欠かせません。
東京都・23区で開業する際の注意点
事務所賃料が経営を圧迫するリスク
東京都内、特に23区内の事務所賃料は全国平均の数倍になることがあります。毎月の固定費として積み重なる賃料は、開業初期の稼働率が低い時期に経営を直撃します。収益計画を立てる際は、現実的な賃料水準を織り込んだ上で「何件の訪問を継続すれば採算が合うか」というラインを明確に把握しておくことが重要です。
競合が多い環境での差別化の難しさ
東京都内では、新規参入した事業所が既存のケアマネージャーに認知されるまでに相当な時間と労力がかかります。その間の運転資金を十分に確保しておくことが、廃業リスクを回避するための最重要事項の一つです。開業前からの営業活動・ホームページ公開・SNS発信を並行して進め、開業前から地域に名前を浸透させておくことが理想です。
報酬改定・廃業リスクへの備え
訪問看護の介護報酬・診療報酬は定期的に改定されます。特定の加算収入に過度に依存した経営モデルはリスクが高く、常に複数の収益源を持ち改定への適応力を高めておくことが、長期的な安定経営の条件になります。開業準備全体については「訪問看護ステーション開業に必要なもの完全ガイド|法人設立から初日訪問までの全ステップ」もあわせてご覧ください。
よくある質問
東京都の指定申請はどこに提出しますか?
東京都内への開業は原則として東京都(福祉局)が申請窓口となります。申請様式・手引きは東京都のホームページからダウンロードできます。区市町村によって窓口の対応が異なる場合があるため、開業予定地の管轄窓口に事前確認することをおすすめします。
23区内と多摩地域ではどちらが開業しやすいですか?
競合の少なさという観点では多摩地域の方が開業しやすい傾向があります。ただし23区内は人口密度が高く移動効率が良いというメリットもあります。賃料・競合数・高齢化率・自分が訪問したいエリアなどを総合的に判断してエリアを選定することをおすすめします。
東京都は開業コストが高いですが、それに見合う需要はありますか?
需要という観点では東京都は全国最大規模であり、高齢者人口の絶対数は今後もしばらく増加が続く見込みです。賃料などの固定費が高い分、それに見合う稼働率を確保できるかどうかが経営の鍵になります。開業エリアの需要と固定費のバランスを事前に精査した上で、現実的な収支計画を立てることが重要です。
まとめ
東京都の訪問看護ステーション稼働数は令和7年4月時点で1,768件(全国訪問看護事業協会調査)と、全国2位の規模を誇ります。人口規模・医療機関の充実・看護師の供給数という観点から、東京都は訪問看護ステーションの開業地として需要面では全国最大の市場です。
一方で、全国2位の事業所数・都心部の高い賃料・激しい採用競争という現実もあります。エリア選定・専門性の明確化・ケアマネとの関係構築・採用活動・ホームページによる地域への情報発信を戦略的に組み合わせることが、東京都での開業成功の鍵です。
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